求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 隣に居たセオドアはなんとなく独り言で言ったようだけど、私だってそれは自分の事かもしれないとは思った。けれど、彼の独り言に答える義務はないし、私は彼を面白くさせる義務もないので、聞こえないふりをした。

 三人で並んで食事を食べていると、一人の私服の男性が荷物を持ち、周囲の竜騎士たちに挨拶をしていた。数人が名残惜しそうに男泣きをして、腕でそれを拭っていた。

「あれは……?」

 不思議に思い私が隣に居たセオドアへと問い掛けると、彼は軽く頷いて答えた。

「ああ……あれは確か、父親が犯罪行為をして、貴族位を剥奪されたんだよ。竜騎士は貴族で、王に許された竜力を持つ者にしかなれないからね。貴族でないならば、別の仕事に就くしかないんだろう……せっかく長い期間訓練して、良い竜騎士に育っていたのにね……残念だ」

 その時、私は話していたセオドアを見ていたので、その向こうの席に座るカートライト団長の顔も目に入ってしまった。

 去って行く部下を見つめている彼はとても切なげで、私は思わず整った横顔に食い入るように見入ってしまった。





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