求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「はいっ……貴族は爵位を返上、または剥奪されれば、私たちは竜力を失ってしまいます。そうなれば、竜に触ることもだって出来なくなります」

 ディルクージュ王国の王侯貴族は、竜と繋がれ竜に触れられる力を持つ特権階級だ。

 ディルクージュ王族の始祖は古の竜だったらしいとは今でも伝えられているけれど、おそらくそれは伝説という不確かな過去ではなく真実なのだろうと思う。

 貴族としての爵位を王より与えられれば、胸に浮かぶ竜の紋章。それには、特別な竜力を与え、爵位を取り上げれば、それは失われてしまう。

 ディルクージュ王国で、王はただ一人絶対的な存在。だから、この国では王位簒奪などは起こりえない。

 だって、爵位をもって貴族に竜力を与えることが出来るのは、私たち貴族が仕えているディルクージュ王国国王陛下、ただ一人だけだからだ。

「ご名答だ。よって、王族の血に近い者ほど、持つ竜力は強い。そうなれば、特別な竜にも騎乗することが出来る」

「特別な竜……ですか?」

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