求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 仲良く談笑したり……なんて事はないけれど、セオドアが居る時であれば、三人で話す機会もあった。猛獣のようだった初対面を考えれば、劇的な変化だと言える。

 実質的に言えば団長が私の雇い主なのだから、関係が悪いものにならなくて良かった。

「ウェンディ。ほら。見てごらん。この子は、アスカロンだ。神竜同士の子で、持っている力が特別に強い」

「アスカロン……」

 私は子竜一匹がだけが柵の中に入った部屋の奥へと、足を進めた。これまでに見た子竜たちと大きく異なる点はその身体の色だった。

「あ。この子は……黒いんですね」

 そうなのだ。その子竜の色は、漆黒。見ていると吸い込まれそうな、とても濃い黒だった。

 私がこれまでに世話をしていた子竜たちは、色とりどりで花のような可愛らしい色が多く、黒い子竜は見たことがなかった。

「竜は身体の色の濃さで、力の強さが変わるんだよ。この子の色を見るだけで、どれだけ強い子なのかわかるだろう?」

 ジリオラさんの言葉に、私は大きく頷いた。

「……はい」

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