求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 色の濃さが持っている力というのならば、この子は特別な子竜でしかない。けれど、あどけない可愛らしい仕草は私がこれまでに世話をして来た子竜たちと一緒だ。

 なんて可愛いの……力は強いけれど、中身は皆と同じなのよね。

「一匹で隔離して可哀想ではあるけれど、アスカロンを守るためにも、こうした方が良いんだよ。周囲の子だちもこれだけ強い子だと、どうしても警戒して遠巻きになるからね。力を制御出来るようになってから、遊ばせることにしているんだ。そうすれば、分別の付いた周囲の子竜も安心して付き合えるからね」

「けど……同じように、可愛らしいですね」

 確かに同じ竜が恐れるくらいに強い力を持っているのだろうけれど、子竜の姿は本当に可愛いのだ。

「ジリオラ。ウェンディにも、アスカロンの世話を頼むのか……?」

「そうだよ。アスカロンも生まれたてから、だいぶしっかりして来たし、ルクレツィアだって来年再来年、産まないとは限らないからね」

「そうか……それは、確かにそうだな」

 私は背中側で交わされる二人の会話を聞きながらも、目の前の黒い子竜をじっと見つめていた。

「……キュ?」

 一匹でここに居るせいか、あまり見ない私を見て不思議に思って、首を傾げ目を逸らせないようだった。

 まあ……なんて、可愛いの。

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