求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「だから、あんたが父親みたいなんだって……まあ、大丈夫じゃないかい。最近は殿下も、ユーシスに構っている暇はないだろうからね」

「どうだろうな。俺はあの人の動向を、調べたことはない」

 団長はアスカロンに近寄り、首元を撫でるとキューキューと可愛らしい鳴き声をあげていた。団長も足繁くここへと通い懐いているようだ。

「私は逆はあると思うよ。殿下はユーシスが昼飯何食べたかまで、詳細に知ってそうだけどね」

「おい。ジリオラ……気持ち悪いことを言うなよ」

 団長はとても嫌な顔をしたので、ジリオラさんはそこで面白そうな笑い声をあげていた。

「だから、殿下には嫉妬されているんだよ。ユーシスが優秀な証拠さね。どうでも良い奴の動向なんで、どうでも良いからね。しかし、幼い頃ならわかるけど、あの子もなかなか大人になりきれないねえ。立派な神竜に選ばれた王子様だというのに、どうしてあんな風な性格なんだか」

「俺はその事について、何も言うつもりは無い」

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