求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「……そうかい? まあ、言いづらいのはわかるよ。ユーシスが優秀な竜騎士なのは、あんたの努力の結果で、何も悪くないからね。私はよりにもよって、あんたたちの竜同士がくっついたことが、とてつもない悲劇だなとは思うけどね。だって、これからもことある毎に関わることになるじゃないか」

 ジリオラさんは手際良くアスカロンが使った寝藁を片付けていき、私は片付け終わった場所に新しい寝藁を敷いて彼女を手伝った。

「……ルクレツィアとヴォルフガングも、悪くない。俺が嫌われないように、上手くやれば良かっただけだ。殿下も時が経てば、いつかわかってくださると思う」

「相変わらず、あんたは考え方が自責だね。無理だよ。殿下はユーシスのことが、自分より優秀だから嫌いなんだよ。自分を嫌いな人間が変わってくれることを期待するなんて、無駄なことだよ。やめな。諦めたら、生きるのが楽になる」

「……それでも……諦めたくはない」

 団長は顔を歪めて苦しそうになり、彼に撫でられていたアスカロンが心配そうにキューと鳴いた。

「ふん。まあ、私はどうでも良いんだけどね。あんたの人生なんだから、あんたの好きにしな」

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