求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
10 長い足
食後、お腹がいっぱいになってうとうとしていたアスカロンが昼寝して眠ったのを確認してから、私は無言のままの団長に手で促され、彼の竜であるルクレツィアに会いに行くことになった。
アスカロンの世話を終えたジリオラさんも子竜たちの元へと戻っていったけれど、現在竜舎に居る子竜たちがお昼寝をする時間なので、彼女も食事をしてから休憩するらしい。
私はと言うと背が高く足の長い団長の後を追い掛けるだけで、精一杯になってしまった。
絶対に失えない働き先の最高責任者に『もう少し、速度を緩めて欲しい』なんて、どうにかお願いして雇ってもらった過去のある私に言える訳がない。
なるべく必死には見えないように小走りしていた私の荒い息が聞こえたのか、団長は振り返り、しまったといわんばかりに口に手を当てた。
「悪い……俺は女性と歩くことがあまりなく、気が利かずにすまない」
「いえ! すみません……私が歩くのが遅くて」
団長はきっと普通に歩いているだけなのに、非常に足が長いから速度がやけに速くなってしまうのだ。
……団長は申し訳なさそうに頭の後ろをかくと、先ほどとは打って変わってゆっくりと歩き出した。
「いや。君は何も悪くない。これからは、ウェンディに合わせて歩くよ。急いでもいないし……今日は俺は休みにしようかと思っていたから、別にそうしても良い」
自分で休みを自由に決められるなんて、羨ましい……なんて、下っ端の私は思ってしまうけれど、彼はたとえ事前に決めていた休日だとしても、アレイスター竜騎士団に何かあれば出て来なければいけない。
そんな急ぎの仕事がない時くらいは、たまにはゆっくりしても良いのかもしれない。
「ありがとうございます。団長の足が、とっても長いせいもありますけど……」
アスカロンの世話を終えたジリオラさんも子竜たちの元へと戻っていったけれど、現在竜舎に居る子竜たちがお昼寝をする時間なので、彼女も食事をしてから休憩するらしい。
私はと言うと背が高く足の長い団長の後を追い掛けるだけで、精一杯になってしまった。
絶対に失えない働き先の最高責任者に『もう少し、速度を緩めて欲しい』なんて、どうにかお願いして雇ってもらった過去のある私に言える訳がない。
なるべく必死には見えないように小走りしていた私の荒い息が聞こえたのか、団長は振り返り、しまったといわんばかりに口に手を当てた。
「悪い……俺は女性と歩くことがあまりなく、気が利かずにすまない」
「いえ! すみません……私が歩くのが遅くて」
団長はきっと普通に歩いているだけなのに、非常に足が長いから速度がやけに速くなってしまうのだ。
……団長は申し訳なさそうに頭の後ろをかくと、先ほどとは打って変わってゆっくりと歩き出した。
「いや。君は何も悪くない。これからは、ウェンディに合わせて歩くよ。急いでもいないし……今日は俺は休みにしようかと思っていたから、別にそうしても良い」
自分で休みを自由に決められるなんて、羨ましい……なんて、下っ端の私は思ってしまうけれど、彼はたとえ事前に決めていた休日だとしても、アレイスター竜騎士団に何かあれば出て来なければいけない。
そんな急ぎの仕事がない時くらいは、たまにはゆっくりしても良いのかもしれない。
「ありがとうございます。団長の足が、とっても長いせいもありますけど……」