求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「なんとなくです。理由は上手く言えないですけど、私……なんとなくで、勘が当たる時が多いんですよ。だから、大丈夫だと思います」

「……それならば良い。一応、竜を近くで目にする前に、注意しておこうと思っただけだ」

 ……わ。また笑った。

 団長は容姿が良いと国中で噂になるほどに美男なので、そういう彼が真面目な表情をしているだけで、なんとなく迫力が出てしまう。

 けれど、笑うとなんだか可愛くて……笑顔を見るのは三回目だけど、そのたびに同じ人なのかと驚いてしまうのだ。

 団長との初対面を思い出せば、まるで猛獣だったし、セオドアを挟んで近くで話せるようになっても無表情に近かった。

 けど、今は私と話して笑ってくれている。

 アレイスター竜騎士団でのお仕事……頑張って良かった。私が何も出来ない役立たずだったなら、こんな風に笑ってもらえなかったと思うもの。

「子竜守の仕事は、だいぶ慣れたようだな」

「はい! 団長に雇っていただいたおかげです。ありがとうございます」

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