求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私たちは一日三回食事を取っているけれど、ひと月に一回で良いなんて……竜って凄い。

 大きく驚いた私に苦笑して、団長は話を続けた。

「ああ。竜は飛行している時に空気中からも、大気にある力を取り入れるんだ。だから、ある程度羽根が立派になって、空を飛行出来るようになれば、極論食事はしなくても良くなるんだ」

「……今は子竜たちは、羽根を羽ばたかせているだけですね」

 子竜たちの背中には小さな羽根が付いていることは付いて居るのだけど、彼らはそれでまだ飛行は出来ない。私はまだ、ぽてぽてと可愛く歩いている時しか、見たことがない。

「ああ。あの羽根がもう少し立派になれば、軽く浮くことから始めて、いずれ飛べるようになる……そろそろルクレツィアを呼ぼうか。ウェンディ。先ほど言ったことには、二言はないな?」

「あ。はい! 大丈夫です!」

 てっきりルクレツィアが居る場所にまで歩いて行くのかと思ったら、この草原で彼女を呼ぶらしい。竜は翼があってどこにでも飛行してしまえるから、当然と言えば当然のことなのかもしれない。

 嬉しい……もうすぐ、成竜に会えるんだ。

 騎士団近くにある開けた草原で、私たち二人は立ち止まり、団長は空に向かって何かを呟いた。


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