求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 だから、私は純粋に団長の竜力が羨ましかった。けれど、竜力は産まれた時に決まってしまうというし、私は竜の声を聞くことは出来ないのだろうけれど。

「ああ。まあ……それで、ルクレツィアは君には庇護が必要で、守らなければいけないと言っている」

 私はその言葉に驚いて、頭上にあるルクレツィアの顔を見た。彼女が私を見る黒い瞳は慈愛に満ちていて、本当に心配してくれているようだった。

 優しい……私は大丈夫なのに。無一文になって親に置いて行かれても、なんとか一人で生きて居るし、私より酷い状況に居る人たちなんて、いくらでも居る。

 私は安全な場所で仕事があるだけ、幸せなのだ。万が一には頼れる人だって居る。だから、今の状況を不満に思うなんて、贅沢なことだと自分でもわかっていた。

 私はとても、恵まれている。それなのに、弱音を吐いてしまうなんて、良くないことだ。

 けれど、心配してくれたルクレツィアの想いは嬉しく、彼女に向かってお礼を言った。

「ルクレツィア……ありがとう」

 その時、竜ルクレツィアは大きな羽根をはためかせたので、私はびっくりして団長を見た。

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