求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
子竜たちを世話する私には、いくらでもやらなければいけない仕事が残っている。だというのに、仕事中に眠ってしまうなんて……言い訳の利かない失態を犯してしまった。
「いや。良いんだ。新人の時は、仕事が大変だろう。慣れない場所に居ることだって、精神的にきついはずだ。君はよく頑張っていると思う」
それは、団長は物慣れぬ新人の部下に対し、ただ、労いの言葉を掛けてくれただけだ。
……だと言うのに、私は嬉し過ぎて、涙をこぼしてしまうところだった。
「ありがとうございます……そろそろ戻らなければいけないので、失礼します!」
私はスカートを持って団長へ礼をすると、慌てて身を翻して竜舎への道を走り出した。
……危ない。団長の前で泣いてしまうところだった。
あの人は自分の部下が、良くやっていると褒めてくれただけ。そもそも、私のことはよく思っていないもの。
いい加減、泣くことを止めなければ。だって、泣いていてもお金は稼げないもの。団長には雇って貰えただけで本当に感謝していて、忙しそうなあの人から同情されたいなんて、とても思えない。
一人で生きていくことに、早く慣れないと。親も居なくて持参金のない貴族令嬢の私のことなんて、誰も守ってくれないもの。
……私はもうここに、アレイスター竜騎士団に留まり続けることしか出来ない。
そうするしかない。わかっている。扱いづらい自分の立場なんて、胸が痛くなるくらいに知っている。
進むことも戻ることも、何も出来ずに、私はここで生きていくしかないの。
「いや。良いんだ。新人の時は、仕事が大変だろう。慣れない場所に居ることだって、精神的にきついはずだ。君はよく頑張っていると思う」
それは、団長は物慣れぬ新人の部下に対し、ただ、労いの言葉を掛けてくれただけだ。
……だと言うのに、私は嬉し過ぎて、涙をこぼしてしまうところだった。
「ありがとうございます……そろそろ戻らなければいけないので、失礼します!」
私はスカートを持って団長へ礼をすると、慌てて身を翻して竜舎への道を走り出した。
……危ない。団長の前で泣いてしまうところだった。
あの人は自分の部下が、良くやっていると褒めてくれただけ。そもそも、私のことはよく思っていないもの。
いい加減、泣くことを止めなければ。だって、泣いていてもお金は稼げないもの。団長には雇って貰えただけで本当に感謝していて、忙しそうなあの人から同情されたいなんて、とても思えない。
一人で生きていくことに、早く慣れないと。親も居なくて持参金のない貴族令嬢の私のことなんて、誰も守ってくれないもの。
……私はもうここに、アレイスター竜騎士団に留まり続けることしか出来ない。
そうするしかない。わかっている。扱いづらい自分の立場なんて、胸が痛くなるくらいに知っている。
進むことも戻ることも、何も出来ずに、私はここで生きていくしかないの。