求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私は竜が多数生息しているディルクージュ王国の貴族だけど、竜の生態などは秘密にされていて明かされていない。

 そもそも、こんな子竜守という仕事があることだって、私は自分がその仕事に就くまで知らなかったのだ。

 竜が風邪を引くことだって、もちろん知らない。人の子が風邪を引いてしまうように、こんな風に体調を悪化させてしまうことだって……。

 ジリオラさんは私の顔をじっと見て、その腕に抱いた子竜を見比べると、大きく息をついてから言った。

「……そうだね。ウェンディもこれからの事を考えて、風邪をひいた子の面倒をどう見るか、自分がやって見て実地で知っておいた方が良いだろう。あんたにこの子を任せることにするよ。大丈夫かい?」

「あ。はい! わかりました」

 ジリオラさんの問いに、私は何度か大きく頷いた。

 彼女の言う通り、そうそうある事ではない事だって、いつそれが起きてしまうかは誰にもわからず、それはジリオラさんが何かの事情で居ない時に起こってしまうこともある。

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