求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 いつもは空き部屋になっているはずの私の部屋へと、風邪をひいてしまった子竜と私は過ごすことになった。

 風邪を引いてしまっているので、うつしてしまう可能性がある他の子竜と一緒には出来ないということと、長く付きそうことになる私もその方が楽だろうという判断だった。

 新しい寝藁を敷き詰め子竜を囲ってあげると、キュウキュウと苦しそうに呻きガタガタと震えが止まらないようだった。

 私は特別に用意された薬入りのミルクを、嫌がる子竜の隙をついて、少量だけれど口の中へと入れた。たまに吐き出したり嫌がっているから、私もしたくはないけれど、この子の命を繋ぐためにそれは仕方ない事だと心を鬼にした。

「悪いね。いつもは次の日が非番の新人騎士にでも、この作業を任せるところなんだけどね。これをやった事がない子が、誰かに教えられる訳でもないからね」

「大丈夫です。ジリオラさん。一人にしてしまいますけど……」

「何を言っているんだい。あんたが来るまでは、全部を私がやってたんだからね」

< 80 / 215 >

この作品をシェア

pagetop