求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 二人で手分けしてやっていた仕事も多かったので、私がここに居るとジリオラさんにすべてやってもらうことになる。それが申し訳なくて謝ろうとすると、彼女は呆れたように笑った。

 ジリオラさんは必要な物を私の部屋へ置き終わると、早々に仕事に戻っていった。

 彼女にだってやらなければならない事は山積みだろうし、風邪の子竜の看病を任された私も、目の前の仕事に集中することにした。

 熱があって気持ちが悪いのか、私が匙を向けると顔を背けて嫌がるけれど、私は無理矢理にでも口の中にミルクを入れた。

 嫌がることは極力したくない……けれど、これだけはやり遂げなければ。この子のために。

 本当に匙一杯……少しずつだけれど、必要なミルクを飲ませることが出来ていて、私はその事に集中していた。

 そして、一日の終わり、時計を見ると皆寝静まっているだろう深夜になってから、子竜の身体の震えは目に見えて減ってきた。

 飲ませているミルクには薬も調合されて入っているらしいので、それがようやく効いてきたのかもしれない。

 明け方、私は一日の必要量を、ようやく飲ませることに成功した。

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