求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 かなり深く寝入ってしまっているのか、ジリオラさんが抱き上げても、反応なくすうすうと可愛い寝息を立てているだけだった。

「この子は、もう……大丈夫だろう。ただ、他の子竜と一緒にしてしまうとゆっくり眠れないかもしれないから、私の部屋にでも寝かしておくよ。ウェンディはこれから、ゆっくりと休みな」

「えっ……でも」

 ジリオラさんと私の子竜守の仕事は、命に関わることだからこそ、毎日欠かせないものだ。食事を与えて寝床を掃除する。

 そうしなければ、産まれたばかりで弱いあの子たちは死んでしまうからだ。

「……徹夜明けで普通に働くなんて、若いからって、そうそう出来るもんじゃないよ。ウェンディが倒れたら、誰が面倒を看るんだい? それに、そんな事をあんたにさせたと聞けば、流石に責任者のユーシスも怒るだろうからね。ここは私のためと思って、今日のところは頼むから睡眠を取って休んでおくれ」

「あ……すみません」

 私は多忙なジリオラさんを助けるために自分も仕事をしなければと思って居たけれど、アレイスター竜騎士団は、王よりカートライト団長が任されている。

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