求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 パッと目を開けるとそこはベッドの上で、横になっていた私の上には、ふかふかとして温かな毛布が掛けられていた。

 それは本来なら竜の卵の孵化に使う毛布で、一定の温度に保たれるような魔法が掛けられた毛布だ……ジリオラさんがここで働く誰かにベッドの上に運ばせ、私の上に掛けてくれたのかもしれない。

 まだまだ覚めやらない微睡みの中で、なんとなくそう思ったけれど、疲れ切っていた私は、最近取り切れてない睡眠を貪るように、夕方まで眠ってしまった。

「……あ。ジリオラさん。こんばんは。あれからずっと眠ってしまっていて……今、起きたところです」

 久しぶりにまとまった睡眠が取れて、私はいつになくすっきりとした気持ちになっていた。食堂に向かえば、ジリオラさんがちょうど食事を取っていたので、彼女の隣へと座った。

「おや。おはよう。良かった。だいぶ、疲れも取れたようだね」

「はい。ありがとうございます。今日ゆっくりすることが出来たので、明日からまた頑張ります。あ。それと……毛布もありがとうございました。よく眠れました」

「……何のことだい?」

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