求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 お礼を言えば彼女は不思議そうな表情になったので、私も首を傾げて頷いた。

「私をベッドの上に寝かせてくれて、毛布を掛けてくれたのは、ジリオラさんではないんですか?」

「いや、それは違うよ。誰だろうね。竜舎の中に入れる役職は、限られているはずだけどね……」

 もし、ただ自分がベッドの上に移動していただけなら、意識のない時に移動したと思えたのかもしれない。

 けれど、あの毛布は誰かが意図的に持って来てくれて、眠っている私の身体の上へ掛けてくれたはず。私が眠りながらも歩いて、物置にまで取りに行っていないのなら。

「あれ! ウェンディ。ジリオラ。君たち二人がここに揃っているなんて、なんだか珍しいね」

 セオドアが私たちが、食事を取っている卓へとやって来た。カートライト団長も一緒だ。

「今日は、ウェンディがお手柄だったからね。風邪をひいた子竜を、徹夜で看ていてくれたんだよ。それで、今日は夕方まで眠って貰っていたって訳さ」

 これまで私たちはいつもは交替で食事を取っているので、同時に見掛けないのは当然のことだった。

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