求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 再度はあっと大きくため息をついて、年齢の割に大人びた性格のリシャールは、大きく開かれたままの扉を指差した。

 『家族解散宣言』のあまりの大きな衝撃に、私が意識を飛ばしてしまっていた短い間に、父はここから出て行ってしまっていたらしい。

「え……か、解散ですって?」

 か、解散ってことは、私たち家族、再び集合するって事よね。

 待って。集合時間は、いつになるの……?

 いえ……! 混乱し過ぎて、私。少しおかしくなってしまっているみたい。そんな事をなんて気にしている場合でもなくて……!

 お父様は私を置いて行ってしまったんだわ……。

「……いや、うちの父様……本当に、後先を考えない人だと思っていたけど、もう……本当にとんでもないよね。お金を工面することで頭いっぱいで、姉様とか、その後のことを忘れてしまっているんだと思う」

 これから……何処に住むかも決まっていない娘を……忘れてしまっているみたいですって?

 父親にはあるまじきとんでもない行いなんて通り越して、一周回って『こんなことって、本当に起こりうるのね』と、私本人が感動してしまうまであるお話だわ。

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