求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。

15 大事

 腕に出来てしまった傷は団長が危惧していた通り、かなり深かった。

 けれど、怪我をした直後にすぐに医者に傷を塞ぐ処置をして貰えたおかげで、三月後には傷跡も気にならないほどにはなるだろうとの見立てだった。

 団長がああ言ってくれた一瞬だけ……私には結婚する予定もないのだし、そんな事はどうでも良いと思ってしまった。

 ……お父様がお金を稼いで来てくださる可能性だって、残されているのだから、私は家族として信じなくてはいけない。

 だから、団長の咄嗟の判断は、きっと正しかった。

 治療後、アスカロンは私が部屋に戻った後も変わりなく、光の繭に包まれていた。

 その前に佇んでいた団長は、アスカロンを見て、難しい表情を浮かべていた。

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