林高の紅一点
「なー、逸花、今日は塾ないか?」
下校のチャイムがなり、身支度を整え、いざ帰ろうとした私の席に、君島が現れる。
「えーと、何? 喧嘩でもしに行くの?」
今日は塾のない日だったが、用件によっては塾があるということに変える必要がありそうだ。
「いや、今日はこれだ!」
バーンと私の机に叩きつけられたのは……
「ゲームセンター、リニューアルオープン?」
一護商店街の一角にあるゲーセンの、リニューアルオープンを知らせるチラシだった。
「そうだ! これから天音と紫苑と行こうって話しててよ、逸花もどうだ?」
「……それなら」
特に断る理由もなく、私は放課後、彼らについてゲーセンに寄り道することにした。
*
「もう一回!」
「何回やっても同じだと思うぜ。俺は負けねぇ」
君島の余裕のある態度を前にすると、思わず叩きのめしたくなってしまう。
この感覚はまさに勉強時に感じる闘争心と似ていた。
まさか、私がゲーセンのホッケーにこんなにも夢中になる日が来るなんて、自分でも予想外だった。
「鬼頭さんって意外と負けず嫌いなんだね」
私たちの戦いを見守る三春くんが、そう言う。
負けず嫌い、確かに私は負けず嫌いだ。
でも、それは君島も同じようなものだ。
この男、手加減という言葉を知らないらしく、女の私相手でも容赦なくフルパワーで応戦してくる。
しかし、それは私にとって変に手を抜かれるよりよっぽど良かった。
「ねぇ、まだ続けるの?」
天音は先ほどクレーンゲームでとったお菓子を食べながら、呆れた目線をこちらに向けた。
「あ、両替してくる。あと一回、一回だけだから、待ってて」
私はそう言ってその場を離れると、札を崩すために両替機を探しに行った。
両替機、両替機、と。
なかなか見つからず店内をぐるっと一周する。
そして、ちょうど両替機を見つけたときだった。
「おい」
後ろから不意にポンと肩を叩かれる。
振り返ったその先にいたのは。
「……!」
*
下校のチャイムがなり、身支度を整え、いざ帰ろうとした私の席に、君島が現れる。
「えーと、何? 喧嘩でもしに行くの?」
今日は塾のない日だったが、用件によっては塾があるということに変える必要がありそうだ。
「いや、今日はこれだ!」
バーンと私の机に叩きつけられたのは……
「ゲームセンター、リニューアルオープン?」
一護商店街の一角にあるゲーセンの、リニューアルオープンを知らせるチラシだった。
「そうだ! これから天音と紫苑と行こうって話しててよ、逸花もどうだ?」
「……それなら」
特に断る理由もなく、私は放課後、彼らについてゲーセンに寄り道することにした。
*
「もう一回!」
「何回やっても同じだと思うぜ。俺は負けねぇ」
君島の余裕のある態度を前にすると、思わず叩きのめしたくなってしまう。
この感覚はまさに勉強時に感じる闘争心と似ていた。
まさか、私がゲーセンのホッケーにこんなにも夢中になる日が来るなんて、自分でも予想外だった。
「鬼頭さんって意外と負けず嫌いなんだね」
私たちの戦いを見守る三春くんが、そう言う。
負けず嫌い、確かに私は負けず嫌いだ。
でも、それは君島も同じようなものだ。
この男、手加減という言葉を知らないらしく、女の私相手でも容赦なくフルパワーで応戦してくる。
しかし、それは私にとって変に手を抜かれるよりよっぽど良かった。
「ねぇ、まだ続けるの?」
天音は先ほどクレーンゲームでとったお菓子を食べながら、呆れた目線をこちらに向けた。
「あ、両替してくる。あと一回、一回だけだから、待ってて」
私はそう言ってその場を離れると、札を崩すために両替機を探しに行った。
両替機、両替機、と。
なかなか見つからず店内をぐるっと一周する。
そして、ちょうど両替機を見つけたときだった。
「おい」
後ろから不意にポンと肩を叩かれる。
振り返ったその先にいたのは。
「……!」
*