短編集
【キーンコーン~】授業の開始…。
「さ、中に入るぞ!」
「…あぁ。」
奇利は、普通の態度…。
いや、少し…無理をしている…か。
奇利は、どうして…お金に固執する?
…男…か。変な、プライド…ね。
俺が奇利の男だとしたら…。考
えられる状況は、好きな男のためにお金を稼ぎ…持ってきたお金を受け取らない…プライドか?
借金の男…。
それも、受け取らないなら…悪い男…というより、人が良すぎて騙された…かな?
年上…か。
転校は、奇利の両親が亡くなったから…。
手に入った、財産…を受け取らなかった?
…奇利は、どんなことをしても…自分の力でお金を手に入れるか。
奇利…お前も、変なプライド…いや、意地になってるんだ。
不器用だな…
奇利も、普通にしていれば…男が寄ってくる。
いや、お金にこだわるから…お金と駆け引きするような男がいるんだろう。
今回は、それ…か。
「浩…あんた、素質あるわね。クスクス…」
「うわぁあっ!!」
いつの間にか、授業が終わっていた。
恵理夏が俺の机に座り、あごに指を滑らす。
【ゾワッ…】
「え、り、かぁ~~~?」
「なぁにぃ?」
…奇利の姿がない?
「おい、奇利は…?」
「え?倍返し!」
……。
倍返し…?
「ちょ、それ?!!」
偉そうに、何か問題でも?という態度の恵理夏。
…こいつでは、話にならない!
「秋、…秋も、いない…。まさか!」
「…クスッ…秋、女をみせてね?」
そんな声が聞こえるはずもなく…
恵理夏を残し、2・3年の教室へ走る。
見当たらない!!
奇利…秋…俺は…くそっ!!
「…お、覚えてろ!」
ぼろぼろの姿の先輩?!
俺の横を、古臭い捨て台詞で通り過ぎる。
その先に、木に隠れメモを取る秋。に、殆んど無傷の奇利。
俺は、迷わず…秋に抱きついた。
「…浩…君?」
分かる…自分が震えている。
秋に、何かあったら…それが、怖かった。
俺、秋のこと…好きだ…。