短編集

「本当だよ?」

……。
秋の真剣な…眼。

えぇ?!!

「え~~っと、秋?俺の魂…取られたら、死んじゃう…よ?」

「…ぷぷっ…きゃはははは…」

…騙された…
いつ、こんな高等な技術を??

「恵理夏は、人間よ?」

「解ってるって。…恵理夏、どうして黙ってるんだ??」

その方が、よっぽど怖い…。

「ふふっ…クスクス…別に?」

「お、早いな!浩、もっと…頑張れ?あ、いい薬…買う?」

「…何の、話…かな?」

「え…?我慢…ぐっ…」

下品な親父が…もう一匹!!

「黙ってろ!お前ら、秋にオヤジなこと教えるの禁止!!」

「約束は出来ないわ。だって、どれがオヤジなのか…分からないもの~~。くすくすくす…ん?教えてくれる~~??」

「身体で、教えて欲しいなぁ~?」

こいつ等ぁ~~。
怒りに震える俺が言葉を出そうとした、その時…


「奇利!!」と、遠くから叫ぶ声。

「……。」

今までに見たことのない、奇利の真面目な顔。

誰だ…?もしかして、例の…男?
能天気な顔で、嬉しそうに校内…しかも、廊下を走ってくる。

抱きつく寸前、奇利の回し蹴りが決まる。

「…ぐふっ…」

「…てめ…今まで、どこに!!」

「えぇ~~?マグロ船を捜して旅をしてたんだ。」

マグロ船…?借金返済の為…??

「…で、何故…今更…ここに?」

今度は、奇利が怒りに震えている。

「あぁ、ロ○ロクだよ!で、一気にお金持ち?俺の父さんの許可ももらった、結婚しよう!奇利、愛してる!!」

…俺たちは、誰も…ついていけなかった…。

「この…運がいい男…は!!」

怒鳴りながらも、嬉しそうなのは…俺にもわかった。
…が、驚くのはまだ早かった。

「あぁ、はじめまして。産休の代理で来ることになりました。桃字 利付(もものじ りつき)です。」

……。

「先生ぃ~~?!」

こいつ、先生のくせに…奇利に、手を…?

「利付、ここ…学校…」

はぁ…と、ため息の奇利。

「くくっ…面白いな~~。」

笑っているのは、恵理夏だけだった…。
そんな騒ぎの中、秋が俺の服の裾を引っ張る。

「…?どうした…?」

うるさい声の中、耳を傾けると…

「ね、浩君…。秋ね…H…したい。」

……。

【ボッ…】

顔が熱くなる…不意打ちだった。
俺を上目に、ダメ?…っと、首を傾げる。

か…可愛い…けど…
その騒動を抜け…空き室へ…

そう…結局、女の子を悪い子にするのは…男の子。

「秋…本当に、こんな所でいいの?」

「うん…。大好き…浩君。」

「秋、俺も好き。俺の…女神…」

そう、俺だけの女神を…俺が、…堕女神にする…。




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