短編集

お腹を空かせた蒼を、母が拾った。
それから、食事は何故か一緒だ。

狭い敷地にコーポが建った頃、家族は文句を言っていたのに…。

あれ?まさか…蒼、窓から??
でも、窓には鍵がかかって…

はぁ…ため息が出る。

「委員長、おはよう…朝から、ため息?」

「加菅くん、この間はありがとう。」荷

物を持ってくれるなんて、紳士よね…。
ん?視線を感じ、加菅くんの隣を見る。

「…おはようございますぅ」と、泣きそうな顔の女神が挨拶してくれる。

あぁ…最近、付き合い始めたのよね。

「おはよう、伊住院さん。」

変に言い訳しない方が、いいかしら?
面倒ね…付き合うって。

「浩くんは、私の!!」

「うん、知ってる。」と、ニッコリ。

「秋、ヤキモチ?」

「…ぐっ…」

羨ましい…かも?


「離せ!ここは、学校だ!!先生のくせに、てか…大人だろ?!あぁ、ウザイ!!」

校門で騒ぐ、女の子…

「奇利…と、あいつか。」

転校生を追いかけるように、産休の代理で来た…
桃字 利付(もものじ りつき)先生。
大金を当てたとか、言っていたが…。

このグループって…楽しそうでいいわね。

「委員長。あのさ…生徒会長って…」

蒼…?

女神は、先生と葉山さんの2人のやり取りを見学している。
何故か、メモを取っている…。

「委員長?」

「あぁ、蒼…のこと?…私、何も知らないわ。」と、本当のことを言った。
が、そこへ後からゆっくり来ていた二人が到着。

「俺が、何?」

学校モードの、クールな蒼。
…っけ!吐き気がする。

「悪魔に、魂取られるぞ?」と、苦笑い。

…?悪魔…?

「ふふっ、浩ったら…くすくすくす…相手、してないからって…ふふっ。今からでも、イク?」

…アクマ…?

「黙れ、オヤジ!秋に、変なこと教えるなよ!!」

私を取り残し、騒がしい外野。

「例えばぁ~?そうね…ふふっ。アレかしら。縛られたりしたのかなぁ~~?」

「…ぐっ…やっぱり、お前か!!」

何を思い出したのか、顔が真っ赤…

「…朱理、後で生徒会室に来いよ。」と、真面目な顔の蒼。

ムカッ…何か、イラつく。
この作った顔、嫌い!!

「イ・ヤ。用事がない!」

騒がしいその空間から、離れて歩く。

蒼は、彼女がいる。楽しそうでいい…。
私も、何かを求めるわけじゃない。けど、何かに縛られているように感じる。

何に…?
考えるのが、面倒臭い!!

はぁ…
また、ため息。


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