短編集

やる気がない


「…伊住院さん??」

お昼を食べ終わり、うとうとする日差しに…ふっと気配がした。
目の前に女神降臨。

小動物のように、上目で私を見つめてくる。
可愛い…頭を撫で回したい!!

「…浩君をネ取っちゃうの?」

……は?ネトル…

「伊…」

「秋でいいよ…。ライバルだもん!!」と、メモを出す。

…あの、これは…どうしたらいいの??

「秋…。あの、ライバルじゃないし…メモを出されても…」

じっと見つめる目は可愛いのに、口にする言葉が…
あぁ、堕女神。

「ふぅ。わざと…か。秋、いい女は…黙っているものよ。」

おぉ!と、目を輝かせメモを取る。
いや、助言をしたのでは…いや、したのか??

「黙りすぎて、誤解するわ…」と、秋が真っ直ぐに見つめる。

「うん…他の3人はどうしたの?」

「うん。朝、騒いだから…生徒指導室に呼び出し。私と生徒会長は、免除。恵理夏は、わざと行った。」

「…そう。」

静かな時間。

私、秋のこと…気に入ったかも。この子、本当に女神だ。
癒される…。

「朱理…」

「…ん?」

「頭、撫でるの…気持ちいい…けど、無意識だよね?」

はっ!!
自分が、気づかないうちに?

「…ごめん。秋、可愛くて…つい。」

ニッコリ、女神の微笑み。

「朝、言ってたけど…生徒会長のこと好きなの?」

は?言ってた??そんなこと??
頭にハテナマークが浮かぶ。

「…好き?キライ?」

「……。面倒臭い。」

唯一出てきた言葉だった。

「ふ…」

優しい瞳で…笑われた??
嫌味はない…けど、笑われた。

「秋?」

「女神…ね。」

…??


「楽しそうねぇ~~」と、蒼の彼女登場。

「そう、友達に…ふふっ。恵理夏って呼んでね?秋だけって不公平だわ」

どんな理由なんだか…

「うん、恵理夏ね。」
「じゃ、私も!奇利で!!」
「じゃ、俺は浩ね。」

あれ、何で…このグループに??

「いやぁ~~。よくやった!くすくす…目を付けてたのよぉ。」と、色っぽい眼の恵理夏。

奇利も顔を近づけ…

「うん。クスクス…ね、いじり甲斐がありそうで。ふふっ」と、眼鏡を取り上げる。

「…み、見えない!ぼやける!!」

取られた眼鏡を、取り返そうとした…机のあしに、つまずいて倒れる。

「…いた…くない??」下

には、浩…。
この間の逆だった。

「ご、ごめん!!」

秋、誤解…してる?
慌てて、立ち上がろうとした私の体が浮いた…?!


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