短編集

「…生徒会室に来いって言ったよね?」

胸の下…(あまりないが…)
蒼が、腕を回して私を持ち上げた状態。

「お、下ろして!!」

て、行くなんて言ってないし!
彼女の恵理夏の前で?!

恵理夏は、ニヤリと笑った。

何で??
秋は、浩に抱きついて…顔をスリスリと、可愛い仕草。

…そんな光景が…遠退いていく。
ん??

「ちょ、蒼!?」

軽い子供のように、いつの間にか肩に乗せられ…
抵抗するが、びくともしない。

「放せ!下ろせぇ~~!!」

生徒会室のドアが、勢いよく開いて…閉まる。
プラス、鍵の閉める音。

……。
何で??

疑問に思う私を、ソファーに落とした。

「きゃっ…」

…??
見上げると、息の切れた…蒼の顔。

「…あの~~?蒼??」

何だろ?何故か、嫌な…予感
蒼の左手と、右足がソファーに沈む。

近い!
顔が…体が、近づいてくる?!

「蒼、ちょ…んっ…?!」

口が唇で塞がれ、ない胸に…蒼の手が触れる。
何で?どうして!相手が違うよ??
てか、ない胸を…触るな~!!

「ぅっ…ん。」

体が、反応する。
今までにない…

「や…め、そんな…触り方…ぁっ…」

頭が、働かない…
けど!!

【バシッ】

…はぁ…はぁ…
涙目で、蒼を睨む。

やっと動いた右手に、蒼を叩いた痛みが残る。
ビックリした顔の蒼…。

「はぁ…。蒼、欲求不満なの?相手が、違うでしょ…。恵理夏には、黙っててあげるから…退いて。」

「嫌だ。朱理、お前…俺のこと…どう思ってる?」

嫌??
蒼のこと…どう…?

「どう…??」

見つめる眼は、真剣…
どう思うか?この質問は、今…したことを??

「…最低…」

起き上がろうとした私を、ソファーに押し付ける。
怖い顔の蒼…。

あれれ、最低だよね?今の状況だって、そうだよね??
…答えを間違えた?

質問は、『どう思うか』?
眉間にシワを寄せ、考える。どう…?

蒼のこと…好きか嫌いか…?
まさか、彼女がいるのに。

あぁ!

「浮気モノ!」

笑顔で言った私に、辛そうな表情…。

え…?
貧乳のくせに、自意識過剰な台詞だった?

そうだよね、あんな綺麗な彼女と一緒にしたんだ。
怒るか…。

「ごめん?」

疑問系で、様子をみる。

「俺のこと、嫌いなのか…?」

ん?キライ…なのか?
…どっちかと言えば、嫌い。

けど、この雰囲気で言えるはずも無い。

「…何だ、自信がなくなってたのか!」

乱れた服も気にせず、蒼の頭を撫でてやる。

「大丈夫!優秀な生徒会長だって、先生も褒めてるよ。な、ちゃんと実績も残ってる。自信もって!」

満面の笑顔で、しょうがないから微笑んでやる。

「…そうか。ありがとう…」

あれ?役不足だったかな…
やっぱり、綺麗な彼女じゃないとね。

「今日は私が好きな食べ物を用意してやるから、元気出せ!」



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