短編集

「晩御飯なら、下にとってある。温めようか?お腹…むぐっ?」

無言で私の腕を掴み、唇を塞ぐ。
…大きい声出したから?

でも、いちいち口で塞がなくても…
あれ?これ、キスだよね??

あぁ~~今更だけど、私のファーストキスは…こいつ??
これ、二回目…いや、何回目?

「ふゃ…ふぁに…??」

生暖かい…舌?…絡まる…
これは無理!

【ガブッ…】
「っ!!」

噛みついてやったわ!

「はぁ…。…んで…」

「何、聞こえな…」

「何で、平気な顔してんだよ!」

大きい声を、お前が出すな。

「平気な顔?」

少し、考えてみる。

普通、キスは…好きな人とします。でも、蒼は?
好きな人ではありません。ちなみに、綺麗な彼女がいます。
ここは、私の部屋…寝ている時間…

「あぁ!」

状況把握したものの、出て行ってとは言える雰囲気じゃない。
どうして?ここは、私の部屋なのに…。

「蒼…?」

「俺、朱理のことが好きだ。…朱理は、俺のこと好きなのか?」

……。

え?
彼女いる蒼が、私のこと…好き?貧乳の私を…?
ないないない…

あぁ、いつの間にか寝ていたんだ。

「…おやすみ…蒼…」

そこから、記憶がない…



朝。いつもと同じ時間に、目覚ましが鳴る。
しかし、布団には私だけ。

当然だ…。私の部屋なんだから。
窓は閉まっていたが、鍵は開いていた。
…あれ?夢…じゃない??

台所にも、蒼はいなかった。

「蒼は?」

「生徒会、忙しいみたいよ?」

…だよね。
何だか、寂しい…ような、物足りないような??
不思議な気持ちだった。…ま、いいか…



学校への道。
静かな時間…。蒼と出逢うまでは、この繰り返しだった。
蒼は、何かを話すわけではないから…同じような静かな時間。
いるのといないのって、違うんだな~~。

ふと、空を見る。
青い空で、いい天気。

…視界が覆われ…耳元で囁かれる。

「だぁ~れだ?…ふぅ~~」

息が耳にかかる。
【ゾク~ッ】

「恵理夏…」

「当ったりぃ~~」

「……。」

つい、何を思ったか…恵理夏の胸に両手を当てた。

「…大きい。」

「ふふっ。朱理ったら、大胆ねぇ。いいわよ?どこでスル?」

「何を??」

「くすくす…教えてあげるから、いらっしゃい。」

差し伸べられた手を、取ろうとした。

「だぁ~~!!恵理夏、毒牙にかけるのは止めなさい!!」と、浩に止められる。

毒牙??

「牙が、あるの??」

「ね?私より、女神でしょ?」

「あぁ。恵理夏は、近寄ってはいけません!!てか、二人とも…恵理夏に近づいてはいけません。」と、秋の横に並べられ…

怒られている?

恵理夏は、綺麗で…胸も…大きい。
出来たら、自分にないものを…知りたい…教えて欲しい。
そうか、だから…秋は彼女と友達になったのか。そして、私を誘った…


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