短編集
呼ばれただけ…
そう、いつものように名前を呼ばれた。
ただ、それだけなのに…。
何故、こんなにドキドキしてるの?
…あぁ、きっと病気だ!!
保健室、いや…病院に!!
「…朱理?…な…何をしに来たんですか?」
ムカッ…まただ。
学校の、クールな他所の顔…。
「嫌い!嫌い!!大ッ嫌いっ!!」
涙が、出そうだ。
悔しい…
「朱理!!」
逃げようとする私を、後ろから抱きしめ…囁く。
「好き…俺は、朱理が好きなんだ…。恵理夏と付き合えば、嫉妬してくれるかと…思ったのに。俺が一緒に寝ていても、意識してくれない…。どうしたらいい?どうしたら俺のこと、好きになってくれる?」
首元に、蒼の唇が触れる。
「…や…くすぐったい…っ…」
手が、小さい胸に触れた。
【ビクッ!!】
「やっ!!…ふ…ぅ…ううっ…」
恵理夏の嘘つき…
小さい胸に、いい事なんかない。
「ごめん…」
手と、体が私から離れ…温かい体温が逃げていく。
「…好きになる…だから、教えて欲しいの」
「…何を教えたらいい…?」
優しい声…心地いい…
瞳に、私が映る…。
好きかも…
「ね、恵理夏が言ってたの…」
「うん…?」
「貧乳に良さがあるって…」
「…え、…うん?」
「…何?どこがいい?私にも、分かるようにお・し・え・て?…ね、丁寧に…だよ?」
【ブッ…】
蒼が、顔を真っ赤に…
「鼻血?!大丈夫、蒼…疲れてるの?どうしよう…えと、ティッシュ!」
「…堕、堕女神…降臨…」
…?
何故、今それ??
『くすくすくす…結局、女の子を堕女神にするのは…誰なのかしら。男の子?その女神自身?友達?…環境かしら?ふふっ…それとも、私みたいな悪魔…かしら?人間界は楽しいわねぇ…。ね、そう思わない?くすくすくす…いけないわ。楽しすぎて、魂もらうの忘れてる。ま、いいか…女神が、堕女神になるのを見るのも…楽しいから…』
end