短編集
うさぎ ~恋心~
手には、怪しげな紙袋。
作戦に、コトリが俺に手渡した。
中を少し覗いたけど…
『大丈夫、他にも沢山あるから♪』
沢山??こんなのが??
双子…同じ…だよね?
俺は、知る…自分の中にいる何か…
コトリにも同じものがいるんだと。
それを味わうのは…獲物…
歩いてすぐのところに、乙姫の家がある。
インターホンを鳴らし、乙姫が玄関を開ける。
作戦通りに行動をしてみる。
「…乙姫、話があるんだ。大切な話…学校では、話かけないと約束するから。ね?おじさんたち、いるんでしょう?中に入れて…目立つと、いけないから。」
本当に、中に入れるのかな?
「…そうね、目立つといけないし。……私の部屋に行こうか。」
コトリの作戦と同じ…『絶対に、部屋に入れてくれるよ♪』
…何故??疑問に思いながらも、女の子らしい部屋と匂いに、目が回りそうになる。
ドキドキ…うわぁ~~、何だ?
この感覚…暴走しそうだよ??
「どうしたの?先に言うけど、父さんたちが下にいるんだからね!」
「うん?分かっているけど。」
乙姫は、何だか落ち着かない様子。
ま、いいか…作戦、作戦っと!
「で、話って?」
「乙姫、俺…迷惑?」
相手を探る微妙な質問…
「…迷惑じゃないけど、学校は…困るのよ。見たでしょう?」
本当に、嫌われていないのなら…
作戦を実行して、嫌われるのは俺では??やっぱり、コトリの罠…だろうか。
でも、この高揚感?
不思議な感覚に動かされる。
「ね、乙姫…目を閉じてよ。」
「…へ??何で?」
「…乙姫のお願いを聞くんだよ?俺のお願いも聞いてよ…」
強引な言葉が、自然に出てくる。
「…わ、分かったわよ!変なことしたら、噛みつくからね!!」
可愛い…目を閉じ、唇もぎゅっと…
少し震える乙姫の頭に触れる。
【ビクッ】
顔が下に向いて、顔が赤くなっている。
この反応なら、作戦は続行…
乙姫の頭に、紙袋から出したものを付ける。
「目を開けても良いよ?」