短編集
Labyrinth(迷路) ~ ヤンキーシリーズ ~

1無理してヤンキー

早下 紺碧(はやしだ こうき)


紺碧の空に、広がる世界…
いっそのこと、小さな世界に迷い込んだ方が楽だろうか?

学校に来ても、授業に出ないとか…俺、一体なにをしているんだろう?

空を見ていた視線を、下に移し…町を見る。
俺の居場所はどこだろう?

反抗で、髪の色・服装の違反・サボり…
タバコはしない。金が掛かるし、体にも良くない…格好いいなんて、宣伝文句だ。

喫煙者の大人たちに、居場所が無い。
そんなものを求めていないのだ。

成績も、将来のことを考えるとサボるのも計算だ。
俺、不良にもなれない半端モノ。

喧嘩か…買うことはあっても自分からは売らない。
誰かを助けたり…不良か?
カツアゲするほど、金にも困っていない。
万引きは、将来を棒に振る。
勇気?冒険?そんなわけがない…ただの無謀だ。


【ガチャッ】
屋上の扉が開いて、小さな生き物が俺に突進。

「?!!?!」

さっと、避けた。
目標を誤ったソレは、フェンスにぶつかって止まる。

「…いひゃい…うっ…ぐすっ…うぇ…えぇ~~ん!!ひぐっ…うっ…」

ソレは、女子生徒の制服を着た小さな動物。
高校生になって、ツインテールとか無いだろう。

こいつは、不審な小学生なのか??
俺は、そいつの頭に手を乗せ…あやしてみる。

「はい。いい子ですね~~。痛くありませんよぅ。迷子かな?お家に帰ろうね?」

「早下くん!!私、同じクラスの委員長だもん!!」

威勢のいい子供が、俺を睨んで叫ぶ。
涙を零し、俺にしがみつく。

「離れて。俺、ロリコンじゃないから!一応、周りの目を気にするんだ。」

「授業に出てくれたら、離れりゅ!」

ろれつが回ってませんよ?

「あのね、お嬢ちゃん…」

「火上 柚子(かがみ ゆずこ)16歳!昔なら結婚できる歳だから!」

どうやら、本当?らしいが…

「ドジ子。お前も、サボりか?」

「柚子!!サボり…へぁ??そんな…時間が過ぎてるぅ~~?!!?!」

…これが、委員長??
押し付けられたのか?

「うぅ~~。酷いよ…コンキチの所為だ。」

コンキチ??


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