短編集
2どMで ヤンキー
君は特別 ~単色~
元木 竜佳(もとき りゅうか)
駅で、君を見つけた。
目を奪われる…それは、皆が同じ。
そして心も…
皆と同じ?本当に??
君で染まる。
俺の単色な世界が…混ざった色は、元には戻らない。
それは、君も同じ…かな?
「けっ、ふざけんな!朝早くから待ち伏せて、マジメちゃんかよ?はっ…俺もだと?ソウダネ…」
言葉を閉ざし、痛めつけたのは相手なのか自分なのか…分からない。
何故、今の自分が在るのか…
ただ、おふくろが泣く。だからじゃない…
家にいられない。行き場所がない…だから行く。
「おあ?あれ、元木 竜佳じゃね?」
またか…フルネームで呼ぶんじゃねぇ。
元木 竜佳(もとき りゅうか)
自分の名が、どこまで落ちるのか…その名を、俺が知らない奴までが知っている。
繰り返す喧嘩…売られたら買う。
何故、逃げないといけない?勝てるのに…
相手もこんな駅で、けんかを売るような馬鹿ではなかった。
確かに、すぐ捕まるしね?
出来れば、満員を避けたかったが。
横を、長い髪…色白の綺麗な顔。
背の高さは、女にしては高い。
残る香りは心が騒ぐ。
目を奪われ、足が動く。ただ…心は真っ白。
目は一点を逸らすことが出来ない。
「見てんじゃねぇ。ボケが!!」
……?
「見てんじゃねぇって、聞こえないのか?その耳は、飾りなのか?死ね!」
……。
へ??
俺に背を向けた。
周りの人は、見て見ぬ振り…聞こえない振り。
俺は、それでも彼女の後姿を見つめていた。
心の…いや、記憶の整理が出来ない。
この俺に、死ね??
しかも、綺麗な女の子…が?
はぁ…
ため息と、何かに天井を見上げた。
俺、何をやってんだろ??
遠い窓に視線を移し、駅を幾つか見送る。
モソモソ、変な動きのオヤジがいる…痴漢する気だね。
その行き先は、彼女の後ろ。
助けようにも満員で動けない。
オヤジを尊敬してしまう。
すげぇ~~な。
いや、幾ら彼女でも…痴漢は…
【チキチキチキ…】
彼女の顔の横に、キラリと光る刃物。
カッターの緩やかで、確実に伸びる刃…
その瞬間オヤジは奇声と挙動不審で、出入口へと転がった。
皆の目や耳は、オヤジにあった。
俺は…
【チキチィー】一気に下がる刃と、音…
俺には、それだけが記憶にある。
表情は見えないのに、想像するとゾクゾクする。
次の駅。
俺が降りる駅より早いが、彼女を追いかけて降りた。
手を捕らえ、自分の方に向かせる。
「…きさまも痴漢か?」
「さっき、危ないことをしようとしたろ?お前が…」
「るっせ!ボケが…くくく…バカじゃね?この顔だよ?くっ…ちょぅっと泣いて、『追い詰められたの』って言えば良い。くだらねぇ…消えろ!!」
俺の中に衝撃が走る…
その甘いしびれが、彼女を俺の手から解放した。
人ごみに消える彼女の姿。
髪の香り…手には、温もりと柔らかさ。
心には、彼女の企んだ眼…
【ゾクゾク!!】
何だ、この感覚…恋?
まさか…聞いていたものじゃない。
暗黒の笑みに囚われた…俺の闇に近いその色は…
元木 竜佳(もとき りゅうか)
駅で、君を見つけた。
目を奪われる…それは、皆が同じ。
そして心も…
皆と同じ?本当に??
君で染まる。
俺の単色な世界が…混ざった色は、元には戻らない。
それは、君も同じ…かな?
「けっ、ふざけんな!朝早くから待ち伏せて、マジメちゃんかよ?はっ…俺もだと?ソウダネ…」
言葉を閉ざし、痛めつけたのは相手なのか自分なのか…分からない。
何故、今の自分が在るのか…
ただ、おふくろが泣く。だからじゃない…
家にいられない。行き場所がない…だから行く。
「おあ?あれ、元木 竜佳じゃね?」
またか…フルネームで呼ぶんじゃねぇ。
元木 竜佳(もとき りゅうか)
自分の名が、どこまで落ちるのか…その名を、俺が知らない奴までが知っている。
繰り返す喧嘩…売られたら買う。
何故、逃げないといけない?勝てるのに…
相手もこんな駅で、けんかを売るような馬鹿ではなかった。
確かに、すぐ捕まるしね?
出来れば、満員を避けたかったが。
横を、長い髪…色白の綺麗な顔。
背の高さは、女にしては高い。
残る香りは心が騒ぐ。
目を奪われ、足が動く。ただ…心は真っ白。
目は一点を逸らすことが出来ない。
「見てんじゃねぇ。ボケが!!」
……?
「見てんじゃねぇって、聞こえないのか?その耳は、飾りなのか?死ね!」
……。
へ??
俺に背を向けた。
周りの人は、見て見ぬ振り…聞こえない振り。
俺は、それでも彼女の後姿を見つめていた。
心の…いや、記憶の整理が出来ない。
この俺に、死ね??
しかも、綺麗な女の子…が?
はぁ…
ため息と、何かに天井を見上げた。
俺、何をやってんだろ??
遠い窓に視線を移し、駅を幾つか見送る。
モソモソ、変な動きのオヤジがいる…痴漢する気だね。
その行き先は、彼女の後ろ。
助けようにも満員で動けない。
オヤジを尊敬してしまう。
すげぇ~~な。
いや、幾ら彼女でも…痴漢は…
【チキチキチキ…】
彼女の顔の横に、キラリと光る刃物。
カッターの緩やかで、確実に伸びる刃…
その瞬間オヤジは奇声と挙動不審で、出入口へと転がった。
皆の目や耳は、オヤジにあった。
俺は…
【チキチィー】一気に下がる刃と、音…
俺には、それだけが記憶にある。
表情は見えないのに、想像するとゾクゾクする。
次の駅。
俺が降りる駅より早いが、彼女を追いかけて降りた。
手を捕らえ、自分の方に向かせる。
「…きさまも痴漢か?」
「さっき、危ないことをしようとしたろ?お前が…」
「るっせ!ボケが…くくく…バカじゃね?この顔だよ?くっ…ちょぅっと泣いて、『追い詰められたの』って言えば良い。くだらねぇ…消えろ!!」
俺の中に衝撃が走る…
その甘いしびれが、彼女を俺の手から解放した。
人ごみに消える彼女の姿。
髪の香り…手には、温もりと柔らかさ。
心には、彼女の企んだ眼…
【ゾクゾク!!】
何だ、この感覚…恋?
まさか…聞いていたものじゃない。
暗黒の笑みに囚われた…俺の闇に近いその色は…