短編集
Love-Sweet ~本気?~

これはキス?


「南斗…何?どうして…」

【ぷに】
唇に、人差し指が当てられ

「し…黙って。ね?」

小さい声で耳元に囁く。
顔が離れたかと思うと、伏せ気味な眼で見つめる。

【ドキ…ドキドキ…】

あれ?何で、動悸が激しくなるの??
狭い掃除道具入れに、今…何故か二人で隠れた状態。

近い…体が、密着してる。
ただの幼馴染に、何で緊張するの??


私、天草 櫂里(あまくさ かいり)。
高校に入学したばかり。

何故、こうなったのか…。
さっき、日直の仕事を終えた。帰ろうと、かばんを持った瞬間のこと。

この幼馴染…咲良築 南斗(さらづき みなと)が、急に教室に走りこんで…
この狭い空間に押し込めたのだ。
しかも、なぜ一緒に入るのか訊こうとしたところ。

もう帰ったと、思っていたけど??

「…いないぞ?もう、帰ったのか…~…」

??
男の人たちが会話をしながら、教室に入ったのは分かった。
が、今度は両耳を押さえられ…上を向かされる。

…??

【ドキッ】

顔が…近い!!
何、暗いから??いつもは感じない、何だろう?色気??
男の人に使っていいのか?…が、醸し出されている。

我慢できず口を開いた。

「…南斗…むっ?」

……。

え~~と、これは…何かな?
知ってる。聞いたことがありますよ?

男の人と、女の人が唇を重ねて…
えっと、ドラマなんかで見ると…うわ~~ってなるやつ。

そうそう!この間、家族でテレビを見ていたら…お父さんが咳払いをしてトイレに…。

キス…ですか?
え~~と、相手は南斗。何だか、目を閉じてます。
長いような…気が??

南斗は、そっと目を開けると…キスしたまま私を見つめる。
真剣な眼…

え?私は、どう反応したらいいの??
確か、ファーストキスを好きでもない人にされた時は、平手で叩くとか?
好きな人なら「どうして、こんなこと…私のこと、好きなの?」的な、可愛い台詞??

で、私は?
多分、目を見開いて…驚いた顔のまま固まっていた…はず。

思考停止…


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