短編集
さすがの修二も、戸惑いを隠せない。
「いや、部屋…狭いしさ…面白くないって!!」
「そんなの、行ってみないと分かんない!小さい頃は、入れてくれたじゃん!!入れるって♪行っていい?」
「ま、また今度な!!」
そんな約束が果たされることはなかった…
数日後、修二の部屋に行く。
そこには男の集団…18禁鑑賞…
修二の部屋は、家の裏に離れとして建っているから自由気ままだった。
兄貴の影響か、親達の干渉は全くない。
そんな修二が…塾…
「佐良野って、幼なじみ?」
佐良野 優那(さらの ゆな)
道を挟んだ前の家に住む幼なじみの存在…
「今、あいつハブられてるよ。」
その言葉に、修二の表情が変わった。
その日、修二は18禁を見ているようで心…ここにあらず。
俺も、その様子に心は揺らぐ。
修二の家を出て、向かいの家に目を向ける。
2階の部屋に電気は付いているが、カーテンで中は見えない。
次の日。
修二は、佐良野を見つけて走り寄る。
少し言葉をかわし…彼女の後姿。
それを見送る修二の後姿…
数日後…
俺は、修二の家に行った。
「今日は、誰もいないぞ?」
不機嫌で、それでも中に入れてくれる。
少しの沈黙…
「あいつさぁ~。俺が、何とかしてやるって言ったんだ。そしたら、何て言ったと思う?」
「…さぁ?」
「…俺が悪く言われるからって…男が女の事に口をはさむと、余計に悪化することもある…って。」
女の世界って、そうかもしれない。
先生に目をつけられた修二が、あいつを護るようなことを言えば…すぐに解決しそうだけど。
『こいつを虐める奴は、許さない』
…簡単だろう。
でも、それで解決するとは限らない。
ふと、疑問に思った。
彼女は、ただ…こいつとの関わりを、皆に知られたくないんじゃないだろうか?
…いや…皆の前で普通に近づき、不良の中に『行っても良いか?』なんて言う、マヌケなヤツだ…。
修二の幼なじみ…
「あいつ、小学生の時は…俺が助けたら喜んでいたのにな。何だか、サミシイ気がする…」
「ふ。そいつ…おかしな奴だな。」
「何がだよ?」
彼女の悪口だと思ったのか、俺を睨む。
「お前が、悪く言われるのが嫌だなんて…今更だろ?」
幼なじみ…そんな存在が、俺にはいないから理解できない。
周りでも、二人のような仲を知らない。
「あいつ、お前の事…好きなんじゃないのか?」
そう言った俺の胸が痛む…
理解できない痛み。
「いや…あいつ、好きな奴…いるし。」
【ズキンッ】
何だ、この刺さるような痛み…
「俺、あいつが好きなのを知って…そいつを塾に無理やり入れたんだ。くくっ。俺には、逆らえないだろ?」
「ひっでぇ~な。それ、喜んだか?」
「…あぁ。顔を真っ赤にして、怒っていたけどな。俺が協力するんだ…あいつと、付き合えばいいのに…告白しようとしないしさ。」