短編集
不良品につき★
不良品!?
「ちょと、私の彼氏に色目を使ってんじゃ、ないわよ!!」
けっ…
彼女がいるのに、他の女にモノを与えるような男…くだらない。
「ふっ。喧嘩、買うわよ?」
カッとなった女の子の勢いのある平手。
それをかわして、腹にひざで蹴りをいれる。
「げほっ…うっ…」
くだらない…
「ねぇ、彼女ぉ~?可愛いねぇ。お茶、しない?」
「いいわよ。」
手が、私の肩に触れようとしたのを避けながら。
「まだ、会ったばかりで…触れられると、緊張しちゃう。」
げろっ…
言っていて、キモイ。男の顔もキモイけど。
お茶して、私のではない携帯の番号を交換する。
「じゃ、また会ってくださいね?」
くくく…さっき気絶した子に、春を与えたかしら?
くだらない男だけど、あなたの彼氏よりはマシかもね?
くだらない…
空を見上げる。
晴れ…雲が少なく、太陽はいつもと変わらない。
私の毎日も、変わらない…
家…と、言っても海外に両親がいるので、セキュリティのしっかりしたマンションに一人暮らし。
「お帰りなさい!!」
独り暮らし…
開けたドアを一度、閉める。
今、鍵を開けた。
部屋は、合っているよね?
表札には、名前はない。出していないのだ。
部屋の番号はもう一度確認して、合っている。
親の仕業か…
ドアをもう一度開け、にこやかに出迎えた男の腕を掴み、外に放り出す。
ドアを閉めて、鍵をかける。
「え??ちょっ、何??あのぉ~~?」
外で、わめく声…
「神楽(かぐら)さん!!」
名前を叫ぶな!!
【ピンポンピンポン*10…】
インターホンの連打。
こっの!!
「うるさいわ!!」
私のドア越しの叫びに、軽いインターホン一回が響く。
【ぴんぽ~ん】
……くっそ!!!!
チェーンをかけたまま、ドアを開ける。
「どうも!完全無欠なアンドロイドが、あなたを調整しに参りました!!」
……ロボ??
下から上まで眺めるが、どう見ても人間…
「不良品につき、返品。」
ドアを閉めようとする隙間に、両手で押さえながら
「待って!試してよ!!捨てないでぇ~~~~」
どこが、完全無欠??
欠けまくってんじゃん!