短編集
淡い恋をしませんか?
レッスン0
恋愛に初心者や上級者なんて、あるんだろうか?
例え、あったとしても…自分には関係ない。
周りも気にしない…自分の事にも、無頓着。
それでも心は騒ぐ…想いを秘めて。
将来も見えないのに、夢をみる…
ドキドキとムズムズするようなフワフワ…淡い恋…
中切 清花 (なかぎり さやか)中学2年生。
~王道を無視~
朝。
いつもより、いっぱい寝たような気がして、お得感を味わい…
携帯に手を伸ばす。
げっ!?
目覚まし設定が解除されている??
嘘だ…ヤバッいつも起きている時間より、10分遅い。
まだ間に合うよね!
パジャマを上下、一気に脱ぐ…
【ガチャリ】
がちゃり?
…ドアの開いた音に視線。
寝る時は、ノーブラ派です…私。
「…あぁ、大丈夫!見ていないから♪」
と、観察の視線が上下に舐めるように。
口元は、ニヤニヤ…
「~~っこの、出て行け!!変態!!」
腕で胸を隠し、もう片方の手でマクラを掴んで投げた。
身軽に、ヤツはドアを閉めて逃亡。
幼なじみの岩根 白海(いわね はっかい)…
いつもは、双子の弟が迎えに来るのに。
悔しいぃ~~損した気分だ!!
畜生ぅ~~イライラで、着替えを終えて台所へ向かう。
「あら、紅星くんは?」
母さんは、お弁当を渡しながら尋ねた。
「…あれは、白海!こっちが聞きたいわよ…一発、殴ってやるのに…」
ブツブツと、文句を言いながら…
口に小さなクロワッサンを詰め込んで、牛乳で押し流す。
「行ってきます!」
台所から玄関に出ると、堅い何かにぶつかった。
「いったぁ~~」
さっき、ここに何かあったっけ??
「ははっ…マヌケ!ボ~っとすんな、行くぞ。」
ニヤニヤと、不敵な笑いの白海…
「あんた、どこに?」
「トイレと、お前の部屋。」
…私の部屋??
不思議そうに見ていると、耳元に囁く。
「ふっ。一発、俺と…したいんだろ。どこでする?」
台所での私の呟きを聞いていたのか…
「一発、あなた“を”殴っても良いの?遠慮はしないわよ。見られ損なんて、許せないもの。」
殴る準備で、腕を回す私の動きを封じる。
「くすすっ。サヤ、何なら…見る?俺のは、そこいらのモノじゃねぇ~ぜ?」
黒い笑みと強い力
段々、相手をしているのがバカらしくなった。
「白海、今日…紅星は?」
本来なら、白海の双子の弟…
岩根 紅星(いわね こうせい)が迎えに来るはずだ。
「風邪だよ。昨日…くくっ…腹でも出して、寝てたんじゃね?」
何だろう?
最近…白海の色気が駄々漏れて、キモイ。
「おっと、学校が近いから離れてよ!」