短編集

双子と言うだけでも、女子の人気があるのに…
2人は、どうやら男前の部類に入るようだ。

近くに居過ぎて、感覚がマヒしてるのかな??
自分には、良く分からん♪

けど、女の子の嫉妬はウザイから、被害が無い程度を望む。

「…サヤ。それは、紅星と同じ扱いなの?」

意味が良く分からない。

「は?殴られたいの??」

本気だ。
私の睨みに、何故か機嫌よく早足で前を歩いて行く。

後姿…でかくなったもんだね。
小さかった頃は、私より背が低かったのに。生意気…

寝坊の10分を思いだし、携帯で時間を確認した。
お、ギリギリ間に合うね…

台所で、小さなクロワッサンを袋に詰めたのをカバンから取り出す。
授業中にお腹が鳴ったら…恥ずか死ぬ…
口にくわえて、紙パックのジュースをカバンからゴソゴソと取り出す。

曲がり角…

【ドンッ】
よそ見に、注意ですよ!!

口からポロリ…クロワッサンが、ぶつかった相手の制服にコロりんちょ。
しりもち状態の男子生徒が、クロワッサンを手に視線を上げる。

「…これ、君の?」

「はぁ、そっすね。大丈夫ですか?」

手を差し伸べ、クロワッサンを回収しようとしたが…

「ふっ。俺、重いよ?」

爽やか笑顔…
それ、ツッコむところ?ボケるところだろうか?

「…はっ!!遅刻する。」

私は彼から、喰いかけのクロワッサンを奪還して、名前も聞かずに正門へダッシュ。
息を切らしながら、間に合った教室に入ってゴミ箱に向かう。

「あぁ~~、もったいない。どうした?食い意地のはった清花が、食べ物を捨てるなんて。」

ん?と、首を傾げ…言葉とは違うカワイイ外見の笑顔。
人生、得してるよね。

百野 浅黄 (ひゃくの あさぎ)…私の友達。
実は、紅星に片思い中だったりする。

「浅黄、私でも落ちた物は食べないよ?ほら、先生が来た。」

浅黄の背中を押して、席に座るように促した。

「急だが、転校生を紹介する。」

…おやぁ??
どこかで、見たことがあるような…

「はじめまして。月川 深黒 (つきかわ みくろ)です。」

彼の自己紹介も耳に入れず、思い出したかのように紙パックのジュースを取り出した私。
喉が乾いたなぁ~~


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