短編集
レッスン2
一番、問題を発展させるのは情報の共有だ。
それが多ければ多い程、一つの情報に対する見解や意見の相違が比例する。
その比は、問題を収集させることも出来ずに膨張を促す。
伝言ゲーム。
最初の一言が、確実に伝わるにはインパクトが必要だ。
捻じ曲げる悪意を跳ね除けるほどに。
厄介は、ごめんだ。
淡さも濃さに呑み込まれ…
「清花。俺、お前が好きだ!付き合ってくれ。」
そう、こんな公開告白など、ありえない。
見ろ、この周囲の視線。ざわめく声が、お前に分かるのか?
この白海め!
落ち着け、紅星の時に安堵した最悪の事態の回避を思い出すんだ。
こうならなくてよかった、もし、こうだったら…と。
周りの声に意識を集中する。
情報には情報!
『白海くんと、付き合うなんて許さない!』ですよね~。
『フったら、白海くんがカワイソウ!』どうしろと?
視線を白海に向けると、顔を紅潮させ“やり遂げた”みたいなスッキリしたような期待したような眼。
よし、イメトレ通りに行くぞ!
「白海、まずは…友達からだよね?」
「え?俺達、友達だろ!?」
何を言うのやら♪
ニッコリ笑顔を向けた私に、嬉しそうな笑顔。
おやぁ?何だ、この痛み…罪悪感じゃないよね?
躊躇してはいけない、今後の私の学校生活を守るんだ!
「白海。私達は、ただの幼馴染。まずは、友達から始めよう!」
周りのざわめきが止まる。
私と白海の出方を観察しているようだ。
うん、この調子。白海さえ、丸め込めばいい。
「う…友達から、いつ、彼氏になれる?」
「それは、白海次第じゃないかな?私ね、素直な人が好き。このまま、私の意見が通らないなら…幼馴染の関係も終わりね?」
好きだと言う好意を利用している?
そう捉えればいい。
問題は、白海の気持ちじゃない。白海への好意が、私への悪意に変わるのが怖い。
理解など求めない…
「分かった。友達から、宜しく!」
不満気な白海の視線に、笑顔を向ける。
「じゃ、友達から。私の事は中切 (なかぎり)って呼んでね?岩根(いわね)君♪」
ごめんね、白海…でも、悪いのはアナタなのよ。
「何でだよ、サヤで良いだろ?紅星は、どうなんだよ!」
「紅星は、ずっと友達だよ。岩根君は、今、友達になったの。」