短編集

家に近づいたら、玄関にタクシーが停まっていた。

…?
家の中に入る。

「あ、南斗!今から、お父さんに届け物をしなきゃいけないの。今日は、戻れないから…えと、晩御飯は準備してる。後、何だったかしら…言い忘れてることが…とにかく、また連絡するわ。鍵、閉めてね!」

バタバタと、玄関で会話を交わし見送った。

靴箱の中身をひっくり返したのか?
靴箱は、ドアに靴が挟まって少しでも触ると崩れそうだった。

……。
触らないでおこう。面倒臭いし…。

台所には、晩御飯の用意が整っていた。

…?
机には、三人分の食器。

母さん、そんなに慌ててたのか?
ま、夜ご飯を櫂里の家に世話にならなくていい。

この後、着替えて行くつもりだけど…許してくれなかったら…恐ろしい!!
怖いな…


階段を上がり、自分の部屋に入る。
鞄を適当に置いて、上着を脱いだ。

「…ぶっ!!」

信じられない光景に、目を疑った。
俺のベッドの上で、櫂里が丸くなって寝ている。

夢?いや、なんの罠だ?
いや、落ち着け!状況を、落ち着け!!

玄関に靴はなかった。
いや、母さんが靴箱に詰め込んだのか?
そう言えば、食器が3つ…

『言い忘れてることが…』

玄関…鍵、閉めた。
邪魔は入らない。
多分、食事の人数に入ってるって事は…おじさんたちもいない。
これは、最大のチャンス?!

いや、待て待て待て…まずは、櫂里に謝って…
告白して…OKなら…。くふふ…。

いや、何を考えてる?!
わぁ~~~。俺の頭が、おかしい!!

とにかく、櫂里を起こそう。
でないと、俺の理性が壊れる。

よし!

ベッドに近づいて、顔を覗き込む。
目元には、涙の跡。

【ズキズキズキ!】
痛い…胸が痛い!!

泣かしたのは、俺だ。
それなのに、俺の所に来てくれたのか?

【キュ~~ン】
あぁ、胸にある感情がクルクル変わる。

心臓がもたない!!

「おい、櫂里!起きろ。起きてくれ!」

肩に手をのせ、揺さぶった。
反応が少し。

「…ん…南斗…」

【ズキュ~~ン】

やばい、やばい!!
何の拷問だ?

櫂里は、もそもそ動き起きるのかと安心した。

…?

寝返りをうって上向きになる。
スカートが、太ももに押さえられ…白い部分が俺を誘う。

ひぃ~~~?!鼻血が出そうだ!!
目が、逸らせない…あぁ、何だかクラクラする。

フラフラと、気がつけば…
櫂里の上に被さっている俺。

……。

いつの間に?
俺、待て!!


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