短編集

宇宙人??


頭にきて、父のところに向かう。

「父さん、話が…!!?!」

いつもサボっている研究室のドアを、勢いよく開けた。
そこには、待っていました…そんな雰囲気の二人。
父と、奴だ…椅子から立ち、私に微笑む。

【ドキッ】

じゃ、ない!!
何を、ときめいてんだ?私…

パニックになった私の手が引かれる。

【グイッ】

「は??」

間抜けな声…

【プチュッ】

……??
何でしょう?このフニフニした感触。
目の前に、目を閉じた奴の顔。

目がそっと…開く。
捕らえるような…鋭い視線。

顔が離れ、感触が弱まるが…
体に染み込んだように記憶には、はっきりと刻まれた。

「…教授?これで、本当に愛情は増えるの?」

……?
『コレデ、ホントウにアイジョウはフエルノ』か??

「なぁあぁあ~~あぁあ~~??」

何、何が??
唇…さっきの、キス??キス…まさか!父の前で!?

「あぁ、地球人の愛情は、キスで出来ているんだ。子供の作り方は、朱莉沙が教えてくれるぞ!あはははは~~~~」

……思考停止……


地球人?
キス?
子供を作る??

夢…そうか、これは夢なんだ!!
そうかぁ~~最近、イライラしてたから♪でなきゃ、勝手に結婚なんて…

【チュウ~~】

茫然とする私に、また…吸い付くキス。
感触は、きっと…枕だ。
欲求不満ね…彼氏でも作らなきゃ♪
奴の顔を押し退け、両手で挟むように叩く。

【バシッ】

「「痛い…」」

両頬を押さえる奴は、涙目で私を見つめる。

「教授?後、どれくらいでメロメロになるの?」

メロメロ…?
彼を叩いて痛みのある両手を見つめた。

「さぁねぇ~?それを研究しながら、子供を作ればいい。あはははは♪」

こ…の、おやじぃ~~?!

「お父さん、話があるの。ちょっと、顔…貸してくれるかな?」

睨んだ私に、静かな声。

「朱莉沙、言いたいことは分かる」

今までに見たことのない真剣な表情…
あれ?何か、理由が…

「お父さんは、早く孫が見たい!」

…………

「死ねぇ~~~~!!」

どうやら、夢ではない。
なら、ここを逃げた方が…

【ガシッ】

肩と手首を掴まれた。
…逃げ場を失った様です。

「くく…ね、標本にしてあげる。俺のキス…君は受ける度に、俺の愛情で変化して…」

年下の彼は、まだ高校生…
あやしい研究に、捕まった。
しかも、父との会話では宇宙人のような気配…

「嫌ぁあ~~~~!!」

頭はフル回転…奴から逃げるには、どうすればいいのか…
足を踏みつけ、痛みの隙をついて逃げた。

一時的な解放…逃げ場はないような気がする。
家も危険…しかし、家には妹がいる。私が守らないと!!

私は、家へと走る。
この時間なら、晩御飯の当番で支度を始めただろう。
のん気に、料理をさせている場合ではない。

母さん…どうして、父さんと結婚したの??
畜生ぅ~~


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