短編集

同居ですか??


そして、姉は…奴の兄の花嫁として家を出たと聞く。
……おねぇちゃぁ~~ん??

お父さんが恐ろしい…
身に、金属バットを握りしめ…お父さんを正座させて、説明を聞く事になった。

「どこから説明したらいいかな?」

おっとりした笑顔に、何度…私たちは騙されてきただろう…

「一か月前から、一緒に住んでいたの?」

お父さんは、無邪気な笑顔で「てへっ♪」

この、おやじぃ~~(怒)
食事…いつも、お弁当3人分が残っていた…思い返せば、ここ一ヶ月ない。
陰で、飼っていたのか??

「お父さん、動物を拾ってくるなって!何度、言えば良いの?今すぐ、捨てて来なさい!そして、お姉ちゃんを取り戻してよ!!」

宇宙人とか、別にして…いきなり、結婚??
お姉ちゃんを救わないと!

「桐沙。お姉ちゃんは、自分で戻ることが出来る。…戻らないのは、相手を受け入れたからだ。」

……がぁあ~~ぁあ~~ん!!
ショック…だ。信じられない…

嫌、待て…結婚?
相手は宇宙人だと言う(信じていないが)婚姻届…出せるのか?

お姉ちゃん…気が付いてないだけじゃないの??
離婚とか気にして…変に真面目なところがあるし…

疑いの目で、お父さんを見つめる。
視線を逸らし、無言の私に視線をチラチラ。

観念したのか、頭に手を乗せ、舌をペロリ。
幾つだよ…

「あ、バレタかな?だから、桐沙と距離を取るのも目的で…くふふっ愛の巣を与えたんだ♪」

こ、の…おやじぃ~~~~??

「桐沙、自分の心配をした方が良いよ?」

…へ?
今、お父さん…何て言った??


「くすくすくす…俺達、ここの地下に部屋を作ってもらって住んでいたんだ。でも、今日から隣の部屋♪」

ずっと、追いかけるのも楽しんでいた。
私を観察するように、ずっと黙っていたのに…今、そんな衝撃的な告白は要らない。

「…うそ。」

やっと、出たのはその一言。
お姉ちゃんの部屋…奪われた。侵略だ…

私の部屋には、鍵はあるが…
ちらっ…視線を奴に向ける。

ニッコリ…男前の笑顔。
……信用できねぇ!!


「自己紹介するね。名前は、志茂田 成哉(しもだ なりや)。博士がつけてくれたんだ♪学校も、博士のおかげだよ。」

ニコニコ、平然と…とんでもないことを言っていませんか??
家、そんなにお金があるの??

「いやぁ~~。成哉くん達の星では、金やら宝石がゴミだなんて♪ぐふふふふ…」

……それって、私たち…身売りに近くないですか!?

「と、とにかく!!私は、恋人を自分で探す。お姉ちゃんにも、連絡を取るから!どこにいるの?」

詰め寄った私に、影がかかる。

【ちゅっ】

……ちゅ??
今、口に…柔らかい何かが一瞬……

「ふふ…チュウ一回。これを、ファーストキスって言うんだよね♪」

「うがぁあ~~~~!!み、認めない!!キスだと、認めない。ノーカウントだ!!」

口をゴシゴシ拭い、感覚を忘れようと必死で叫んだ。

「…無理だよ。君は、現実主義だろ?認めて…俺の存在と共に。ね、俺の恋人…俺の標本。愛情を育てよう?」

私の頬に、優しく触れようとする手…
慌てて払いのける。

「嫌だ!」

成哉から距離をとり、叫ぶ。

「いい?絶対に、あんたに愛情をもたない!キスで、愛情は増えない!!恨んでやる!」

色んな言葉が頭に浮かぶが、どんどん複雑に混ざってゆく。
出て行かない言葉が、感情とも交ざり…私の心が乱される。

落ち着け…冷静になれ!
これは、悪夢なんだぁ~~!!


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