短編集
ウサギの耳♪♪
片方で~お気楽に~
朝は、群がる女の子たちをかき分けて教室へ向かう。
しかし、その日は違った。
いつもより多く、俺に対する目の色が違う。
一人が叫ぶ。
「トワくん!!トリくんに、彼女出来たって本当?」
「本当なのか!?」
質問に、驚いて叫んでしまった。
俺の名前は、理蛙(ことわ)…トワ。
トリ…理狸(ことり)俺の双子の兄貴。
一緒に登校しなくなったのは、いつからだった?
「にぃちゃぁ~~~~~ん!」
教室は同じなのに…先に出て、ダチと談話。
「…うざい。」
抱き着いた俺を押し退けながら…
「彼女が出来たって、本当なのかぁ??」
「ふっ。本当だよ♪」
「誰だよ!紹介しろよ!!」
兄貴を揺らしながら、問い詰める。
「言わない。どうしてか分かるか?」
どうしてか??
「いつもの意地悪だろ!」
膨れた俺の両頬を、片手で挟んで押さえつけ睨む。
「くくっ。教育が足りなかったかな?おいで、トワくん…教えてあげるよ?」
怖い…【ぞくり】殺気に、身をジタバタ…
逃れて、舌を出す。
「べぇ~~、兄貴の変態!えっちぃ!今日は、もう話さないからな!!」
そんな俺に、ため息。
むかぁ~~~~。
足音を荒げて、教室を出る。
少し離れた教室に入り、叫ぶ。
「乙姫(つばき)!聞いてくれようぅ~~!」
「嫌だ!」
席を立たず、顔を背けて即答。
しかし、めげない!
席まで走り寄って、揺らそうと手を伸ばした。
【ペチン】
軽く叩かれる。
「…痛い。」
「ざっけんな!きさま…人との約束を忘れたのか?」
「…約束?」
思い出そうと、腕を組み…天井を睨む。
「…何だっけ?」
「ふふふ…私に、近づくな!!」
「そんなことより、兄貴の彼女って誰だよ!教えてくれないのは、どうしてだよ!何で、話しかけちゃダメなんだよ!」
一気に質問攻め。
「そんなことは、兄貴に訊けぇ~~!」
「訊いたけど、教えてくれないんだよぅ~~」
「…知らないわよ!」
「冷たいぃ~~。幼なじみのくせに~~、お前なんか嫌いだぁ!」
しまった…言い過ぎた?
そんな俺に、最高の笑顔
【きゅん…】
最近、感じるこのムズムズは…
「ありがとう♪」
え??
「みんな、聞いてくれた?ただの幼なじみ!嫌いだと言われました!」
……酷い。
「うわぁ~~ん、兄貴ぃ~~~~」
教室に戻り、兄貴に抱き着く。
「ぐすっ…うっ・うぅ~~」
「…俺とは、今日…話さないんだろ?」
「ぐすっ…話してないもん。俺の独り言だもん…兄貴も独り言…」
双子なのに、どうして…こんなに違うのかな?
「先生、これはいないと思って授業を…」
「あぁ、気にしない。お前の成績が怖いぐらいだよ…」