真夜中の初詣は恋の予感
大みそか、午前零時を過ぎた。
もはや新年だ。
私はテレビに映る空虚なお笑い番組を消し、立ち上がった。
独り暮らしは長いから、独りで迎える新年は初めてではない。
いつもは年を超えたら寝てしまうのだけど、なぜだか今年はそんな気分になれなかった。
「たまには初詣に行ってみるか」
それはただの気まぐれにだった。
三十過ぎてひとりで行く人なんていないだろうな。
苦笑してコートを羽織り、スマホと小銭を持って家を出る。
空気が冷たくて、星がいつもよりたくさん見えた。
徒歩五分のその神社は地元では大きいほうで、賑やかな人出があった。カップルが多くて、はしゃいだ子どもを連れた家族連れもいる。新年だけは夜更かしを許されたのかな、とほほえましく眺めた。
鳥居の前にはおいしそうな匂いを漂わせる屋台があり、人々が楽し気に会話をしながら並んでいる。たこ焼きに焼きそば、ベビーカステラ、フルーツ飴など。もう夜遅いのに食欲を誘われる。
おいしそう、と横目で見ながら鳥居をくぐり、拝殿に行く。
拝殿にも人が並んでいたから、私は最後尾について順番を待つ。
今年……もう去年か。去年もなにもない一年だった。仕事ばかりで恋はおろそか……というか、出会いはないし、出会おうともしなかった。
友達は結婚していき、合コンのお誘いもない。
だけど、今年こそは、なんていう意気込みもない。
仕事で疲れて家に帰り、泥のように眠る毎日で、先のことを考える余裕なんてなかった。
不透明なカーテンに目の前を閉ざされたような不安だけが募る。
もはや新年だ。
私はテレビに映る空虚なお笑い番組を消し、立ち上がった。
独り暮らしは長いから、独りで迎える新年は初めてではない。
いつもは年を超えたら寝てしまうのだけど、なぜだか今年はそんな気分になれなかった。
「たまには初詣に行ってみるか」
それはただの気まぐれにだった。
三十過ぎてひとりで行く人なんていないだろうな。
苦笑してコートを羽織り、スマホと小銭を持って家を出る。
空気が冷たくて、星がいつもよりたくさん見えた。
徒歩五分のその神社は地元では大きいほうで、賑やかな人出があった。カップルが多くて、はしゃいだ子どもを連れた家族連れもいる。新年だけは夜更かしを許されたのかな、とほほえましく眺めた。
鳥居の前にはおいしそうな匂いを漂わせる屋台があり、人々が楽し気に会話をしながら並んでいる。たこ焼きに焼きそば、ベビーカステラ、フルーツ飴など。もう夜遅いのに食欲を誘われる。
おいしそう、と横目で見ながら鳥居をくぐり、拝殿に行く。
拝殿にも人が並んでいたから、私は最後尾について順番を待つ。
今年……もう去年か。去年もなにもない一年だった。仕事ばかりで恋はおろそか……というか、出会いはないし、出会おうともしなかった。
友達は結婚していき、合コンのお誘いもない。
だけど、今年こそは、なんていう意気込みもない。
仕事で疲れて家に帰り、泥のように眠る毎日で、先のことを考える余裕なんてなかった。
不透明なカーテンに目の前を閉ざされたような不安だけが募る。
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