真夜中の初詣は恋の予感
 どうしてこんなところに。
 私は驚きすぎて声も出ない。

「鹿山さん、そちらは知り合い?」
「違います」
 私は慌てて否定した。

「じゃあ手を離してもらえる?」
 立河さんがにっこりと笑って男たちに言う。

「なんだよ、男連れじゃん」
「さっさと言えよ」
 文句を言いながら、男性たちは立ち去った。

 私は大きく息をついて、それから立河さんに頭を下げた。
「ありがとう。助かりました」
「たまたまなんだけど、居合わせて良かった」
 彼はにっこりと笑う。

 立河さんは企画開発の所属でいくつもヒットを出していて、さわやかなイケメンということもあって社内で人気がある。

 経理をしている私はたまに接触があるが、顔と名前を知っているだけの関係……なんだけど、実は私はひそかに彼に憧れていた。

 私服の立河さんも素敵だ。黒いコートがとても似合っている。
 でも、どうしてこの神社にいるんだろう。

「でも、どうしてこの神社に?」
 私と同じ疑問を彼が口にする。
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