【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「それこそ、ステラ様が聖女に選ばれるのが一番なのです。神殿にいれば手厚い警護を受けられますし、もしも王族との婚姻が決まればステラ様はあのふたりからは手が届かない存在になります。逆に言うと、もしもこのタイミングでステラ様が聖女でないと判断されてしまった場合、彼女は行場を失うことになるでしょう。だからこそ、ステラ様はあなたが――ラブ様が怖いのです。本当は自分が聖女ではないと気づいていらっしゃるから……」
ラブはラウルの言葉を聞くと、拳をグッと強く握る。
「そうですか。ですがわたしは聖女ではないので……」
ラブはそこで言葉を区切ると、今にも泣きそうな表情でリアムの腕にしがみついた。
「とりあえずは、ステラ様のご両親が壁という壁に小指をぶつけまくることとか、外出するたびにハエが顔に突進してきたらいいなぁって思ってもいいですよね? ね?」
「ラブ様……」
リアムは目を細めると、彼女の頭をポンと撫でる。
「もちろん。あなたは聖女ではありませんから、そのぐらい神様もお許しになります」
「うぅ……うぅうう……」
ステラを思って流す涙はあまりにも温かく、美しい。リアムはラブの涙をそっと拭った。
ラブはラウルの言葉を聞くと、拳をグッと強く握る。
「そうですか。ですがわたしは聖女ではないので……」
ラブはそこで言葉を区切ると、今にも泣きそうな表情でリアムの腕にしがみついた。
「とりあえずは、ステラ様のご両親が壁という壁に小指をぶつけまくることとか、外出するたびにハエが顔に突進してきたらいいなぁって思ってもいいですよね? ね?」
「ラブ様……」
リアムは目を細めると、彼女の頭をポンと撫でる。
「もちろん。あなたは聖女ではありませんから、そのぐらい神様もお許しになります」
「うぅ……うぅうう……」
ステラを思って流す涙はあまりにも温かく、美しい。リアムはラブの涙をそっと拭った。