【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「聖女様はこちらです! こちらにいらっしゃいます!」

「ラブ様、あなた……」


 ステラは困惑しながらラブを見る。ラブは彼女の手をぎゅっと握ると、神妙な面持ちで目をつぶった。


「ほう……? 私が聞いていた聖女の名前とは違っているが、彼女が本当に聖女なのか?」

「ええ、そうです! その証拠に、ステラ様は今ここで、神様を召喚することができます」

「「え?」」


 ラブの発言に、ステラもリアムも驚愕する。ふたりはいそいでラブの腕を引き、国王たちから距離をとった。


「ちょっと、わたくしがそんなこと、できるわけがないでしょう? なんなの? これまでの仕返し? あなた、わたくしが罰せられるところが見たいの? 偽物の聖女だってバレて、両親のもとに連れ帰られるところが見たいわけ?」


 ステラがラブへと詰めかける。
 ラブは首を横に振ると、ステラのことをまっすぐに見つめた。


「ステラ様、今日からあなたは聖女です」

「なにを馬鹿なことを。本当はあなたが聖女なのに……わたくしにはそんな力、ないのに……」


 ステラが悔しげに唇を噛む。ラブは目を細めると、もう一度ギュッとステラの手を握った。


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