【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「わたしは聖女じゃありませんよ。呼んでください、神様のこと。絶対にこたえてくれますから」

「神、様……?」


 そのとき、神殿にまばゆい光がさしこんだ。ついで空から白銀の獣が舞い降り、ステラの前でピタリととまる。


「神様だ……」


 神官たちから感嘆の声があがった。十七年前、聖女の誕生を告げるために現れた神が今またここにいる。


「どう、して……?」

「神の力を授けたのだから当然だよ」


 驚きに目を見開くステラに神が言う。


「ステラ――君は聖女だ」


 その瞬間、ステラの瞳から涙がこぼれ落ちた。神殿にわきおこる熱狂と興奮の渦。神官や聖騎士、他の聖女候補たちからステラがもみくちゃにされている。その様子を見守りながら、ラブが満足げに笑っていた。


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