【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
***
「よかったんですか? あれで」
リアムがたずねる。神殿のなかでは今、新たな聖女の誕生を祝うための盛大な宴が開かれていた。
「よかった、とは?」
「――あそこで祝われるべきなのはラブ様だったのに。あなたがステラ様に神の力を渡したんでしょう? ……違いますか?」
リアムが言う。大層不服そうな表情だ。
「またまたぁ! わたしにはそんなことはできませんよ! だって、聖女じゃありませんもの」
ラブはケラケラと笑いながら、ゆっくりと空を見上げた。星が綺麗にまたたき、神殿に向かって降り注いでいる。ラブは静かに目をつぶると、その場に立ち止まった。
「ただですね、わたしは聖女なんかじゃないんですけど……」
「……? はい」
リアムがラブを見つめる。ラブは顔を真っ赤に染め、それからリアムにすがりついた。
「まだまだ思い込みの力は残っているというか、いろんなことができる気がするんですよね。もちろん、これまでと同じ気のせいの範疇なんですけど」
「ラブ様……」
つまり、ラブは自分の力をステラに分け与えただけで、彼女自身はまぎれもない聖女ということなのだろう。リアムは思わず吹き出してしまう。
「よかったんですか? あれで」
リアムがたずねる。神殿のなかでは今、新たな聖女の誕生を祝うための盛大な宴が開かれていた。
「よかった、とは?」
「――あそこで祝われるべきなのはラブ様だったのに。あなたがステラ様に神の力を渡したんでしょう? ……違いますか?」
リアムが言う。大層不服そうな表情だ。
「またまたぁ! わたしにはそんなことはできませんよ! だって、聖女じゃありませんもの」
ラブはケラケラと笑いながら、ゆっくりと空を見上げた。星が綺麗にまたたき、神殿に向かって降り注いでいる。ラブは静かに目をつぶると、その場に立ち止まった。
「ただですね、わたしは聖女なんかじゃないんですけど……」
「……? はい」
リアムがラブを見つめる。ラブは顔を真っ赤に染め、それからリアムにすがりついた。
「まだまだ思い込みの力は残っているというか、いろんなことができる気がするんですよね。もちろん、これまでと同じ気のせいの範疇なんですけど」
「ラブ様……」
つまり、ラブは自分の力をステラに分け与えただけで、彼女自身はまぎれもない聖女ということなのだろう。リアムは思わず吹き出してしまう。