【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「わかった。だったら俺は、アデリナ一人を生涯、心から愛すると誓うよ」

「……人の話を聞いてましたか?」


 ピクリと眉を上げるアデリナを見て笑いつつ、ヘラーは彼女の頬に唇を寄せた。


「確かに俺には過去に想い人がいた。けれど、今の俺はアデリナの夫だ。夫として、君のことを大切にしたいし、幸せにしたい。……というか、そうすると決めていたんだ。だから、俺は俺のしたいようにする。生涯君を愛し続けるよ」

「そ、れは……」


 額やまぶた、頬に何度も口づけられ、アデリナの顔が紅く染まっていく。


(そんなふうに言われるなんて)


 正直、思ってもみなかった。自分の結婚生活は両親のそれと同じように、無味乾燥したものになると信じて疑わなかったというのに。


「これからよろしくね、アデリナ」


 ヘラーがそう言って微笑む。彼の笑顔を見上げながら、アデリナは返す言葉が見つからなかった。


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