【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
1.
あと少し……あと少しで私の人生は私のもとに返ってくる。
「……今、なんと?」
「ですから、私を即刻妃候補から外していただきたいんです」
ため息をつきつつお茶を飲む。
私の向かいに座っているのは金色の髪にエメラルドのような煌めく瞳、見目麗しいこの国の王太子ユリウス様。彼は眉間にしわを寄せ、私のことをじっと見つめていた。
「クラウディア嬢……一体、何故そんなことを?」
「それが私の悲願だからです。この五年間はそればかりを目標に今日まで生きてまいりました」
この場にいるユリウス様の従者たちはみな、私の言葉に動揺していた。無理もない。わざわざ妃選びの場に馳せ参じておきながら、自ら辞退をするだなんて、時間とお金の無駄以外のなにものでもない。ユリウス様に対してもものすごく失礼な行為だ。
けれど、これにはちゃんとした理由がある。事情を説明するため、私は身を乗り出した。
「……今、なんと?」
「ですから、私を即刻妃候補から外していただきたいんです」
ため息をつきつつお茶を飲む。
私の向かいに座っているのは金色の髪にエメラルドのような煌めく瞳、見目麗しいこの国の王太子ユリウス様。彼は眉間にしわを寄せ、私のことをじっと見つめていた。
「クラウディア嬢……一体、何故そんなことを?」
「それが私の悲願だからです。この五年間はそればかりを目標に今日まで生きてまいりました」
この場にいるユリウス様の従者たちはみな、私の言葉に動揺していた。無理もない。わざわざ妃選びの場に馳せ参じておきながら、自ら辞退をするだなんて、時間とお金の無駄以外のなにものでもない。ユリウス様に対してもものすごく失礼な行為だ。
けれど、これにはちゃんとした理由がある。事情を説明するため、私は身を乗り出した。