【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「ヴァイオリンを?」
一体何故? どうして私に? 意味がわからなさすぎて、私は首を傾げてしまう。
「ええ! だってクラウディア様、ヴァイオリンは得意でしょう?」
「いや、嗜む程度にしかできないんじゃないかなぁ……」
嘘です。本当はガッツリ叩き込まれました。
この儀式の三回に一回はヴァイオリンがお題になるという母のお告げによって、ビシバシ特訓されたのでした。
「たしか、候補者同士で教えあったらダメっていう決まりはなかったと思います。もしもクラウディア様に妃になる気がないのなら、敵に塩を送ったっていいですよね?」
「それはそうね」
というかむしろ、彼女は私にとっては『敵』というより味方なのでは? ナターシャ様の評価が上がれば上がるほど、私が妃になる可能性は下がるわけだし。
「教える! ヴァイオリンに限らずなんでも、いくらでも教えちゃうわ」
手を取り笑い合う私たちを眺めつつ、ユリウス様は小さく笑った。
一体何故? どうして私に? 意味がわからなさすぎて、私は首を傾げてしまう。
「ええ! だってクラウディア様、ヴァイオリンは得意でしょう?」
「いや、嗜む程度にしかできないんじゃないかなぁ……」
嘘です。本当はガッツリ叩き込まれました。
この儀式の三回に一回はヴァイオリンがお題になるという母のお告げによって、ビシバシ特訓されたのでした。
「たしか、候補者同士で教えあったらダメっていう決まりはなかったと思います。もしもクラウディア様に妃になる気がないのなら、敵に塩を送ったっていいですよね?」
「それはそうね」
というかむしろ、彼女は私にとっては『敵』というより味方なのでは? ナターシャ様の評価が上がれば上がるほど、私が妃になる可能性は下がるわけだし。
「教える! ヴァイオリンに限らずなんでも、いくらでも教えちゃうわ」
手を取り笑い合う私たちを眺めつつ、ユリウス様は小さく笑った。