【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「ご家族以外には?」

「うーーん、あんまりやったことないですね。なんせ小さな町出身ですし、他人に向かって普通そんなことしないでしょ?」

「……そうですね」


 リアムは返事をしつつ、心のなかで小さく唸る。


(いや、ラブ様の言うとおり、たまたまということもあるだろう)


 結論を出すにはあまりにも早い。彼は小さく首を横に振った。


「それにしても、リアム様ってカッコいいですね」

「は?」


 あまりにも唐突なラブの発言に、リアムは思わず目を丸くする。


「よく言われません? 綺麗な顔立ちだねって」

「いえ、特には」


 顔立ちこそ整っていて綺麗なものの、いかんせん堅物で無愛想なため、リアムが女性にモテることはない。こんなふうに褒められるのは、正直言ってはじめてだった。


「え〜〜? すごく素敵だと思うのに」

「それはどうも」

「これがいわゆる一目惚れってやつでしょうか?」

「……いや、さすがにそれは気のせいでしょう」


 驚くやら戸惑うやら。リアムは頬を染めつつ、ラブからそっと視線をそらした。



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